養育費の減額は可能?減額請求の対処方法とは
養育費が減った!?養育費の減額請求が送られてきた時の対処法
これから離婚をしようと考えている方や、現在離婚が成立し、養育費を受け取っている方の心配事のひとつとして「きちんと養育費を払い続けてくれるだろうか」という疑念があるかと思います。
裁判できちんと養育費が決まったとしても、残念ながら、養育費の支払いを滞らせる人は少なくありません。また、様々な事情から、一度決まった養育費を減額してほしい、と願い出てくるケースもあります。
裁判で養育費がすでに決まっているのに、養育費の減額はできるのでしょうか?
今回は、相手方から養育費の減額を申し入れられた場合の正しい対処法をお伝えします。
お子さんを一人で育てるということはそれだけで大変なことですから、養育費のことで更なるストレスを感じたくはないですよね。
養育費の減額請求に対する基礎知識を身に着けて、いざという時に備えましょう。
養育費は以下の4つを考慮して決定されます。
- @親権を持つ親の年収
- A養育費を払う親の年収
- B子供の年齢
- C子供の人数
養育費の減額が認められる3つのケース
次に、実際に養育費の減額が認められる
3つのケースについて押さえておきましょう。
年収を支払っていた側の会社が倒産するなど、やむを得ない事情で、年収が大幅に減ってしまった場合、養育費の減額が認められる場合があります。現実的に支払う能力が無いとみなされた場合のみ減額は認められます。
養育費を支払う側が再婚し、新たに子供ができた場合、扶養家族が増えるので養育費が減額される場合があります。
養育費を受け取る側としては「相手が結婚しようがこっちの生活は変わらない」となるわけですが、現実的に支払う側の給与が新たな扶養家族を養うことに使われてしまうため、養育費まで賄えない、という事態に陥ることがあり、減額を請求してくる可能性があります。
たとえば、養育費が決定された段階では専業主婦であり、収入がゼロだったとします。その後、子供が大きくなった後に仕事を得てある程度の収入が得られるようになったとします。
そういった場合、これまで養育費を支払っていた側は「決まっている養育費を支払わなくても、子育てできるのでは」という主張から、養育費の減額を請求できる可能性があります。
次に、実際に養育費の減額を請求された場合の対処法についてみていきましょう。
まず、相手方から養育費の減額についての申し出があります。
この申し出は、電話・対面・内容証明の送付などによって行われるでしょう。
ここで相手の主張を聞きましょう。
減額に応じられない場合は、きっぱりと減額には応じない旨を伝えてください。
あなたが話し合いでの減額を拒否した場合、相手方は、家庭裁判所に調停の申立てをするでしょう。
そうすると、あなたの家に調停申立書のコピーが届き、後日、「調停期日呼び出し状」が届きます。
呼び出し状には調停の期日が記されていますから、その日に家庭裁判所に出向きます。調停は月一回のペースでひらかれ、話し合いがまとまるまで開かれます。
調停は、調停委員が同席して話し合いを進めます。
養育費減額を認めさせないためには、この調停委員を味方につける必要があります。
ここでは、「今養育費を減額されたらあなたの生活がどれだけ困窮するか」を具体的な事実とともに主張しましょう。
相手方が、収入を低く見積もって申告しているような場合は、源泉徴収票や収入証明などの提示を請求しておくとよいでしょう。
養育費減額請求調停でお互い合意に達しなかった場合、自動的に審判の手続きが進められます。
審判では、調停委員ではなく、裁判官が養育費の減額を認めるべきか否かの最終的な判断を下します。裁判官は、調停で主張した事実を踏まえて判断を下すので、審判に進む前の調停でもきちんと減額が不適切であるという事実を主張しておく必要があります。
養育費の減額を確実に行いたい場合、請求する側は弁護士を付けて話し合いを進めようとするでしょう。そのため、こちらも養育費の減額請求を申し出された時点で、弁護士への依頼を考えておくのが得策です。
調停が開始されると、基本的には当事者の話し合いによって行われますが、弁護士を同席させることも可能です。
調停委員をどれだけ説得させられるかが鍵となるので、法的な専門知識を持っている弁護士がいると心強いです。
また、審判に移行した場合、調停での主張が非常に重要となるので、先を考えると弁護士に依頼しておくのは何かと有効です。
今回は、相手方から減額請求が合った場合の対処法について解説してきました。
調停で、相手の事情を鑑みて、養育費の減額を認めた場合、調停成立となり、調停調書が作成されます。
「調停を開いたのに結局減額して損をした」と思う必要はありません。
この調停調書があれば、仮に相手方が養育費の支払いを行った場合、簡単に貯金や給料を差し押さえることができるのです。
ですから、養育費の減額を求められた場合は、きちんと公の場所で話し合いをすることをお勧めします。