失踪者の財産を相続できる?意外に知らない失踪宣告と財産相続


「夫が行方不明になってから数年たった。財産の相続はできる?」「妻が失踪した。妻の生命保険を受け取ることはできるのだろうか?」など、失踪した人の財産を相続することができるのか、は気になるところだと思います。

今回は、失踪者の財産を相続することができるのか、について簡単に紹介していきます。

失踪者の財産は相続できる?


失踪者の財産は相続することができるのでしょうか?ここではひとつの事例をもとに解説していきます。

あるところに、花子さんと太郎さんという夫婦がいました。
夫婦には、一人娘の佳子ちゃんという娘がいました。

ある日、太郎さんは、「出張でしばらく家をあける」といって家を出て行きました。

ところが、出張だといっていた一週間を過ぎても太郎さんが家に帰ってくる気配がありません。花子さんは、太郎さんの携帯に電話しましたが繋がりません。

会社にも連絡を入れましたが無断欠勤だと言われてしまいました。

警察にも捜索願を出しました。
警察は捜索願を受理してくれましたが、捜索活動はしてくれません


成人した大人の失踪ですから、本人の意思で失踪したに違いないと考えられてしまったのです。

いつか帰ってくるだろう。
そう思って花子さんは女手ひとつで、佳子ちゃんを育てました。

シングルマザーですから生活が苦しいこともありましたが、一所懸命働きました。
それから数年がたち、佳子ちゃんが大学進学をする時期になりました。

太郎さんが失踪してから10年以上の月日が経っていました。

佳子ちゃんの希望は私立の医大。もう勉強の末合格。
花子さんは大喜びでしたが、残念ながらお金がありません。

花子さんの財産といえば、無駄に大きな家だけ。
花子さんと佳子ちゃんが住んでいたのは、太郎さんが購入し、ローンも払い終えた一軒家でした。

この家を売却したら、佳子の大学費用にまわせる」と考えましたが、土地と建物は両方太郎さん名義になっていました。

土地と建物を売却し、学費にあてるためには、名義を花子さんに変更する必要があります。果たして、失踪者である太郎さんの財産である不動産を花子さんは相続することができるのでしょうか。

答えは、できます。
ですが、そのためには、失踪宣告を受け、失踪届を出す必要があるのです


失踪者の財産を相続する方法

次に、具体的に花子さんが太郎さんの、財産を相続するまでの流れをみていきましょう。

・失踪者の財産を相続する方法1 失踪宣告を受ける


まず花子さんがするべきなのは、家庭裁判所から失踪宣告を受けることです。

失踪宣告を受けるためには、「戦争・災害・事故などのために1年以上にわたり生死が不明になっている(特別失踪)」または「家出や蒸発などによって、7年以上生死が不明になっている(普通失踪)」必要があります。

花子さんのケースは、家出からの10年間にわたる生死不明ですから、普通失踪にあたります。

花子さんは、家庭裁判所に、失踪宣告を申し立てる必要があるわけですが、このときに、太郎さんの失踪を証明する資料を提出する必要があります。

失踪を証明する資料としては、警察に出した捜索願、などが挙げられます。
花子さんは10年以上前に警察署に捜索願を出していますから、警察署に連絡して、捜索願を出したという証明書を出してもらう必要があります

資料を添えて家庭裁判所に申し立てを行うと、家庭裁判所の調査官が調査を行い、失踪したと認められたら失踪宣告が確定します。

・失踪者の財産を相続する方法2 失踪届を出す


失踪宣告を受けたら、家庭裁判所に、確定証明書を出してもらうよう依頼しましょう。

この確定証明書と、審判書謄本を持参し、市役所に失踪届を出して完了です。
失踪届は必ず失踪宣告確定後10日以内に行いましょう

失踪者の財産を相続する際の注意点


次に、失踪者の財産を相続する際の注意点を確認しておきましょう。

注意点1 生命保険は受け取ることができる?


1点目は、「失踪した場合にも、生命保険は受け取ることができる」という点です。
ただし、失踪していた場合も保険料を納めていることが条件になってきます。

注意点2 返還しなければならない可能性


2点目は、失踪届を出して、財産の相続が確定したとしても、返還しなければならない可能性があるということです。


花子さんの例でいうと、失踪宣告を受け、失踪届を出したことで、土地建物を花子さんの名義にすることができたとします。

花子さんはすぐに売り払い、現金化して、佳子ちゃんの学費・一人暮らしの費用にあてました。佳子ちゃんは無事大学を卒業しました。

そんなある日、太郎さんがひょっこり戻ってきたらどうなるのでしょうか?

花子さんは、土地建物の代金をそっくり太郎さんに返還する必要があるのでしょうか?

心配には及びません。
失踪者が帰ってきた場合、使ってしまった財産は返還義務がないのです。

残っている財産があれば、返還する必要はありますが、消費してしまったものまでは、返還する必要性はありません。


最後に

今回は、失踪者の相続について簡単に解説してきました。

7年以上にわたり、生死が不明の身内がいる場合は、家庭裁判所に申し立て、失踪宣告を受けるようにしましょう。

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