どんどん複雑化している車の盗聴器・発信機事情!

「車に盗聴器が仕掛けられていないか心配です。見つけ方を教えてください」という質問が届いています。
どうすれば発見できるのでしょうか?

まず、車の盗聴器の見つけ方は、皆さんが思っているより複雑だということを理解してください。

それはどういうことですか?

形状、機能、電源の供給方法、偽装タイプ、仕掛けられる場所など、 チェックしなければならない範囲がとても広いのが、盗聴器の特徴ということです。
ひとくちに「見つけ方」と言っても、押さえるべきポイントは1つや2つではありません。
見つけるために必要な機材もそれぞれ盗聴器ごとに変わってきます。



まず簡単な例から教えていただけますか?

単純に目で見て探す、目視調査で済ませるだけなら、ダッシュボードや座席の下、 ルームランプなどを入念に調べてください。
ちょうど下図のようなところが重点チェックポイントです。

これで十分ではないのですか?

巧妙に偽装され、隠された盗聴器はそもそも目で見て分かりません。
きちんと調べたつもりでも見落としがあるかもしれませんし、ある特定の曜日だけ仕掛けられているかもしれません。
それらを目視だけで完璧に見つけるのは不可能でしょう。

よく通販などで「盗聴発見器」が売られていますが、役に立ちますか?

結論からいえば実用性は極めて低いです

なぜですか?

弊社でもそうした盗聴発見器をテストしてみましたが、 感度が悪すぎて盗聴器に反応してくれない製品、逆に盗聴と関係ない周辺ノイズまで拾ってしまう製品ばかりでした。
もし不審な電波をキャッチしたとして「それが盗聴器の電波かどうか?」を判別できないのも致命的です。

参考:市販の盗聴器発見器はどこまで使えるのか?

では、素人が偽装された盗聴器を見つけるのは無理でしょうか?

ほかには、ある程度なら一般の人でも探すことができます。
盗聴発見器ではなく、 広帯域受信機を用意していただく必要があります。

オススメの機種などはありますか?

理想を言うなら、AOR社が出している据え置き型の受信機「AR8600 MARK2」 が第一候補になります。
上限周波数3GHzまで対応し、感度も取りまわしも良好です。

値段はどのくらいするのでしょう?

約10万円、安いショップでも8〜9万円はします。
一般の人が購入する場合、この価格がネックになりそうです。

ちょっと気軽に買える値段ではありませんね……

手が届きやすい受信機としては、アルインコ製「DJ-X8」があります。
2万円くらいで買えると思います。

そのくらいなら個人でもギリギリ買えそうですね。

スペックは「AR8600 MARK2」より劣りますが、上限1300MHzまでと、それなりに広い範囲の盗聴電波をキャッチすることができます。
代表的な盗聴周波数がインプット済みなので、買ってすぐ実戦投入できるのも強みです。

使い方は難しくありませんか?

ハンディタイプなので女性でも手軽に使えて、不審電波が盗聴器かどうかを判別するのも内蔵スピーカーで行えます。
詳しい使い方は弊社サイトで無料公開していますので、参考にしてください。

https://www.hakken.pro/abridged_edition.html

この2機種、どちらかを買えばいいのですね。

ごく簡単な盗聴器なら、これで発見できるでしょう。
あとは目視チェックも併用すれば、 車の盗聴器の見つけ方としては最低ラインをクリアできると思います。
補足ですが、必ず車のエンジンをかけてから調査してください
これはエンジンが止まっていると電波を発信しない、 寄生式の盗聴器に対応するため必須です。

今までの方法で車の盗聴器はすべて見つけられますか?

いいえ、この見つけ方が有効なのは「アナログ式」で「電波を発信している盗聴器」だけです。

探せない盗聴器もあるということですか?

それ以外の、たとえばデジタル盗聴器や、電波を発信していない盗聴器は探せません。
何より、「GPS発信機」を発見できないため、対策としては決して十分と言えないでしょう。



あらゆる盗聴器・発信機に迫る プロの極秘テクニック

デジタル式盗聴器というのは、どんなものですか?

アナログ式と違い、電波を暗号化して犯人のもとへ送信する盗聴器のことです。

プロはそれをどうやって発見するのでしょう?

据え置き型の広帯域受信機にくわえ、特殊な「スペクトラムアナライザー」という機材を使用します。
電波の波形などからデジタル盗聴器があるかどうか知ることができます。

※盗聴発見に使用するプロ用機材については、下記のサイトでも解説しております。
https://www.hakken.pro/i/m_merit.htm

その機材は個人でも手に入りますか?

購入するだけなら可能ですが、使いこなすには専門的な訓練が必要です。
また、スペクトラムアナライザーには単体で100万円以上のコストがかかりますし、 広帯域受信機とセットで運用しますからそれも別途購入しなくてはなりません。

普通の人には揃えるだけでも無理のようですね。

現実的ではないと思います。
プロを名乗る業者でさえ、スペアナ (※スペクトラムアナライザーの略)を持っていなかったり、まったく別の機材を「スペアナです」 と偽って使ったりしているくらいですから。


もう1つ、GPS発信機というのが出てきましたが……

ターゲットの車が今どこにいるのかをリアルタイムで知ることができる装置のことです。
昔はPHS発信機が使われていましたが、今はGPSが取って代わり、位置探索の精度が大きく向上しています。

車にはよく発信機が仕掛けられていますか?…

むしろ「車だからこそ」発信機が仕掛けられると言えます。
そもそも多くの場合、車内での会話をただ盗聴するより、現在位置を知ることのほうが高い情報価値を持ちます

どういうことですか?

たとえば、夫の浮気を疑っている奥さんが盗聴犯人だとしましょう。
車のキーは家の中に置いてあるはずですから、車内に盗聴器を仕掛けるのは簡単です。
しかし夫と浮気相手の親密な会話を聞けたとして、浮気の確実な証拠とはなりません。

もっとダイレクトな証拠が必要なのですね。

そうです。
そのためにはGPS発信機を使って、浮気が疑われる日の車の移動を追ったほうが効率的です
ラブホテル街に長時間停車していることが分かれば、決定的な浮気の証拠写真を撮りにいくことも可能なのですから。

そのほうが絶対に有利ですよね。

相手の位置情報がすぐ分かり、手のひらにおさまる小型軽量サイズ、 取りつけも簡単で、発見されにくい……こうした数々のメリットが、車に発信機が仕掛けられやすい理由です。

発信機の調査を依頼してくる依頼者さんもいますか?

発信機について調べて知識を持っている人、ある程度の社会的地位がある人、 テレビに出るような芸能人・有名人などは、「盗聴器よりも発信機を重点的に調べてほしい」 と最初から指定してこられるケースも多いです。
少し前に、有名な元プロ野球選手が薬物事件で逮捕されたニュースをおぼえていますか?

はい、よくワイドショーでも取り上げられていましたね。

あの逮捕直前だったと思いますが、「彼」の運転手が車から降りて、 しきりにタイヤの周辺を眺めている映像が流れたことがありました。
あれはまさに、雇い主の乗る車に発信機が取りつけられていないかチェックしている動作です。
著名人ですから、発信機の怖さを十分知っていたということでしょう。

タイヤまわりを見ていれば発信機は見つけられますか?

車のシャーシならたいていどこでも仕掛けられますから、タイヤまわりだけでなく全体を見たほうがいいです。

具体的にはどこを探すのがいいですか?

よくあるのはバンパーの裏側、車のシャーシ後部などですね。
運転中の振動でも落下しないよう、ケースなどに入れて固定されているはずです。
また、ボンネットを開けてエンジンルーム内に不審物がないかも調べてください。
車のバッテリーに発信機を接続するスキルが犯人にあれば、そこから電力を得て半永久的に作動しますので。

では車の下を覗き込めば、発信機は見つけられるのですね。

そうとも限りません。
目視だけでは見逃すこともありますし、 なにより仕掛ける場所は車外だけではないからです。
盗聴器と同じように巧妙に偽装され、車内のどこに隠されているかも分かりませんから、 万全を期するならプロの力を借りるのがいいでしょう。

プロはどのように調べますか?

もちろん目視なども行いますが、Non Linear Junction Detector、 略して「NLJD」が切り札となります。

どのような機材なのですか?

もともとは軍用として開発され、日本国内ではごく限られた業者しか所持していません。
電波ではなく電子機器そのものに反応するのが特長で、仕様上、電波をほとんど発することがないGPS発信機も見つけることができます。

まるでスパイ映画に出てきそうです。

その通りです。
盗聴器、発信機の進化スピードは驚くほど速く、スパイ映画やSF小説のようなデバイスが次々と実用化されています。

仕掛ける側に負けないよう、プロの発見業者も技術を高めているのですね。

「リモコン操作で遠くから電源をオンオフできる盗聴器」など、何十年か前なら想像もできなかったでしょう。
そうした脅威から依頼者の安全を守るため、我々も進化していかなくてはなりませんから。


【まとめ】まずは自衛を心がけ、不安ならプロにも相談を

思っていた以上に最新の盗聴器、発信機が進化していて驚きました。

しかも、高性能な盗聴器、発信機の一部は日本でも普通に流通しています。
その気になれば個人が簡単に入手できる時代になってしまいました。
法律による規制もまだまだ甘く、ほぼ野放しに近いのが実情です。

車の盗聴器、発信機被害に遭わないための心がけを教えてください。

まずは盗聴器と発信機の怖さを知ったうえで、ここに紹介した基本的な見つけ方をマスターしてください。
それでも不安が残る場合は、きちんとした機材と知識を持ったプロに相談するのが良いでしょう。


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