スマホに仕込まれた浮気調査アプリの脅威

さまざまな機能を備えた「浮気調査アプリ」が流通

「浮気調査をできるアプリがあると聞きました。これで簡単に証拠がつかめるのでしょうか?」という質問が届いています。


浮気調査アプリと呼ばれるソフトウェアは、有料・無料をとわず、いくつも存在します。
必ずしも最初から浮気調査のために作られているわけではありませんが、
パートナーのスマホに仕込んでおくことで、離れたところから相手の行動を監視する機能を持っています。
どんな調査ができるのですか?


浮気調査アプリによって異なりますが、たとえば「GPSでパートナーの位置情報を調べられる」 「スマホ内の写真やアドレス帳を抜き出せる」「離れた場所からスマホの内蔵カメラ・マイクを起動できる」などの機能があります。
すごい!よくメーカーはこんなアプリを開発しましたね!


開発した企業の名誉のため断っておきますが、こうしたアプリの大半は、 思いがけない端末破損に備えたデータバックアップや、盗難・紛失時に場所を探すことを目的として作られています。
なるほど。そのための機能がたまたま浮気調査にも使えてしまう、ということですね。


スマホ内のデータをパソコンに移動・管理できるバックアップアプリとしては
「AirDroid」「JSバックアップ」、GPSでスマホの位置追跡ができる盗難防止アプリとしては
「Prey Anti Theft」「Cerberus」などが一般的に知られています。
また、厳密にはアプリではありませんが、iPhoneのデータをオンラインで同期する
「iCloud」サービスも浮気調査アプリの1つとしてネットで紹介されている場合があります。
便利だけど、こんなアプリが自分のスマホに仕込まれていると想像したら怖いです……。


たしかに浮気調査に役立つ機能といえますし、こうしたアプリを使って確証をつかんでから探偵に依頼してこられる方もいます。
しかし弊社としては、浮気調査アプリの使用は推奨していません。
こんなに便利なのに、なぜでしょうか? もし無料で試せるなら使ってみたい気がするのですが。


まず理由の1つは、パートナーのスマホのロックを解除する必要があるということです。
浮気している人間の多くはロックを厳重にする傾向があるため、浮気調査アプリを仕込むこと自体がきわめて困難です。
たしかに、浮気相手とのLINEなど見られたくないですからね。


推奨しない次の理由は、相手がある程度のIT知識を持っていれば、 アプリを仕込んだ、稼働させた痕跡が見つかってしまう可能性があるからです。
どうやって気づかれてしまうんですか?


浮気調査アプリは、インストールするとホーム画面やアプリ一覧画面にアイコン表示されます。
もしインストールした記憶のないアイコンが目に入れば、誰でも怪しいと感じるでしょう。
そのアイコンを消したり隠したりできないのですか?


一部のアプリはアイコンを隠すことが可能です。
しかし、それでも設定画面からインストールされているアプリ一覧を表示させれば、きちんと発見できます。
IT知識がある人間には通用しない、とおっしゃった意味がわかりました。


もし浮気調査アプリを無断で仕掛けられたことが発覚すれば、 パートナーとしては浮気しているかどうかに関わらず、ひどく気分を害することは明白でしょう。
話し合いで解決できたはずなのに、浮気調査アプリを使ったことで2人の関係が修復不能になってしまえば本末転倒ですよね。


そうした感情面の問題もさることながら、さらにもう1つ、浮気調査アプリの使用を弊社が推奨しない最大の理由があります。
浮気調査アプリで逮捕者も出ている!

浮気調査アプリをおすすめしないのには、どんな理由があるのでしょうか?


浮気調査アプリを使うことで、法律に抵触することがあるからです。
実際に逮捕者も出ています。
どんな犯罪になるんですか!?


正当な目的もなく、相手のスマホに浮気調査アプリをインストールすれば、
刑法の「不正指令電磁的記録に関する罪」に該当する場合があります。
また、インストールするついでにLINEやメールソフトに無断ログインしていれば「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」違反となります。
軽い気持ちで浮気調査アプリを試してみたら犯罪者になってしまうんですね。


上に挙げたのは刑法犯だけですが、ほかに民事で損害賠償を請求されるリスクもあります。
夫や彼氏からも訴えられたりすることがあるんですか?


浮気調査アプリにかぎらず、不法行為で相手の私生活を侵害すれば大きなトラブルになります。
ニュースでも報じられた実例なのですが、夫の浮気を確信した妻が、
浮気相手宅の郵便物を勝手に抜き取ってプライバシーを暴いたり、
業者を雇って別れさせ工作を仕掛けたりしたことがあります。
ドロドロした話ですね……。


この夫婦は互いに裁判で争うこととなり、夫はもちろん不貞行為の慰謝料を支払う判決を受けましたが、 同時に「浮気相手のプライバシーや人格権を不法行為によって侵害した」として、妻の側にも損害賠償を支払うよう判決が出ています。
浮気調査のためなら何をやってもいい、というわけではないのですね。


こうした理由もあり、弊社では浮気調査アプリを軽々しく使用することは推奨しません。
また、「浮気調査にはこのアプリを使おう!」などと無責任に情報を拡散しているインターネットサイトに対しても否定的な立場です。
リスクを最小限にするには、やはり探偵への依頼が安心

最初は「浮気調査アプリがあるなら使っちゃおう」と考えていましたが、いろいろな危険があるのですね。


浮気調査アプリと呼ばれているものは多彩な機能がある反面、 使い方を誤ればプライバシーの侵害、ストーカー犯罪にも簡単につながってしまう、諸刃の剣だと言えます。
浮気調査アプリをどんどん使おうと言っているサイトは、もう古いのでしょうか?


そういったサイトの情報は信用しないほうが良いと思います。
ここ何年かでインターネット犯罪に対する法整備もようやく進んできましたし、
今後さらに浮気調査アプリを使用する法的リスクは高まっていくと予想されます。
ということは、浮気調査アプリは減っていきそうですか?


完全に消滅することはないにせよ、下火になる見込みが高いと考えています。
浮気調査にフォーカスした遠隔操作・監視アプリ「カレログ」が多くの批判や違法性の指摘を受けて
公開停止となったのは数年前のことですが、あの時点でもう浮気調査アプリのピークは過ぎ去ったと言えるのではないでしょうか。
あまりスマホだけに頼りすぎても良くない、ということが分かりました。


そもそも法律を無視して浮気調査アプリを使ったところで、
間接的な証拠だけでは、離婚調停や裁判に勝つことはできません。
スマホはあくまでサポート程度に考え、
証拠収集の専門家である探偵に調査依頼したほうが、よりリスクを抑えながら高い成果が期待できます。
